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現在地から
インフォメーション町家
八竹庵(旧川崎家住宅)
開館時間: 10:00–19:00
休館日: 無休 -
現在地から
Birdhead(鳥頭)
Welcome to Birdhead World Again, Kyoto 2024
誉田屋源兵衛 竹院の間、黒蔵
開館時間: 10:00–18:00
休館日: 4月18日・25日、5月2日・9日Birdhead
Welcome to Birdhead World Again, Kyoto 2024
Presented by CHANEL NEXUS HALL
誉田屋源兵衛 竹院の間、黒蔵
10:00–18:00休館日4月18日・25日、5月2日・9日入場無料
Birdhead(バードヘッド/鳥頭)は、2004年に結成されたソン・タオ(宋涛/1979年生)とジ・ウェイユィ(季炜煜/1980年生)の2人によるアートユニットです。中国の経済と社会が世界に開かれつつあった時期に、彼らの故郷である上海の都市変容を記録したクロニクルで一躍注目を集めました。20年に及ぶ活動を通じ、自分たちを取り巻く世界に声を上げ、称賛し、また批評するために写真の技術や物語性の限界に挑戦し続けています。
Birdhead初の京都での展覧会となる本展は、280年の歴史をもつ帯問屋・誉田屋源兵衛の建築的特徴や歴史的背景を活かした2部構成となっています。明治期から大正期にかけて建てられた竹院の間では、彼らの代名詞ともいえる作品で、昨年京都と東京で撮影された124点のイメージからなる《Matrix》の新作を展示。加えて、入念に組み合わされた写真画像を木材に直接シルクスクリーン印刷し特殊なラッカー技術で定着させた、《Bigger Photo》シリーズの最近の作品5点も展示します。
現代建築が融合する黒蔵では、写真の神秘的な力を崇める空想の宗教「Phototheism」という彼らの冷笑的な概念を提示します。この“宗教”とその信条「We Will Shoot You(我らは汝を撮影す)」を根底として、コラージュ画像、インスタレーションが暗い空間に鎮座し、原始的な崇拝を想起させます。これらの作品を総合すると、写真界のみならず、中国、ひいては世界の現代アート界に存在感を放ってきたBirdheadの独特な世界が見えてきます。
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ジェームス・モリソン
子どもたちの眠る場所
京都芸術センター
開館時間: 11:00–19:00
休館日: 5月7日James Mollison
子どもたちの眠る場所
Supported by Fujifilm
京都芸術センター
11:00–19:00休館日5月7日大人 : ¥800
学生 : ¥600
(学生証の提示をお願いします。)ジェームス・モリソンの幼少期のベッドルームは、イギリスの実家の屋根裏部屋にある小さな部屋で、成長するにつれてそのときどきの好きなものが飾られていました。アクションマンのフィギュア、バットマンの車、マムジーとディドル・ダッシュという2匹のネズミのために木製の果物箱で多層階の遊び場を作ったものから、デュラン・デュランやマドンナが掲載された『スマッシュ・ヒッツ』誌のページ、軍隊のポスター、サーファーのポスター、ジミ・ヘンドリックスやザ・ローリング・ストーンズ、そして最後はレイヴパーティーのポスターまで。ベッドルームは彼にとって自分だけの王国でした。
それから何年も時が経ち、子どもの権利に関わる仕事を依頼されたモリソンは、自分の幼少期の部屋、ベッドルームについて考えました。子ども時代に寝室がいかに重要であったか、そしてその部屋がいかに自分の持っているものや自分という存在を投影していたか。そこで彼は、今日の子どもたちに影響を及ぼしている複雑な状況や社会問題を考える方法として、さまざまな境遇にある子どもたちの寝室に目を向けることを思いつきました。彼は当初、このプロジェクトを『ベッドルーム』と名付けましたが、やがて、彼自身が経験した『ベッドルーム』が、多くの子どもたちには当てはまらないことに気がつきます。世界中の何百万という家族がひとつの部屋で一緒に寝ていたり、何百万という子どもたちが自分の部屋と呼べるような場所ではなく、むしろ簡易的な空間で寝ていたりすることを知ります。彼は、自分が眠り、成長するための自分だけの王国を持っていたことが、いかに特権的であったかを理解するようになりました。
モリソンは現在、5大陸40カ国で「Where Children Sleep(子どもたちの眠る場所)」のプロジェクトのために子どもたちを撮影しています。一人ひとり異なる境遇に生まれた子どもを紹介するこのプロジェクトは、貧困、富、気候変動、銃による暴力、不平等、教育、ジェンダー、難民危機など、現代の複雑な問題について考えるための手段になるのではないでしょうか。
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クラウディア・アンドゥハル
ヤノマミ
ダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティスト京都文化博物館 別館
開館時間: 10:00–19:00
休館日: 4月15日・22日、5月7日Claudia Andujar
ヤノマミ
ダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティストIn collaboration with Instituto Moreira Salles and Hutukara Yanomami Association
共催:京都府京都文化博物館 別館
10:00–19:00休館日4月15日・22日、5月7日大人 : ¥1,200
学生 : ¥1,000
(学生証の提示をお願いします。)本展は、ブラジル人アーティストのクラウディア・アンドゥハルとブラジルの先住民ヤノマミとのコラボレーションを発表する日本初の展覧会です。
ヤノマミはアマゾン最大の先住民グループのひとつであり、ベネズエラからブラジルにまたがる地域で暮らしています。
クラウディア・アンドゥハルは1931年にスイスでユダヤ教徒の父とカトリック教徒の母の間に生まれ、ルーマニアのトランシルヴァニア地方で育ちました。ホロコーストを生き抜いたアンドゥハルは1946年ニューヨークに渡ります。その9年後にはブラジルのサンパウロに移り住み、その地で写真家としてのキャリアをスタートさせました。アンドゥハルが写真家として特に強い関心を寄せたのは、社会的弱者のコミュニティでした。1971年、アンドゥハルはブラジル北部のヤノマミの居住地域を初めて訪れます。この出会いが、アンドゥハルのライフワークの出発点となりました。彼女にとって、アートはヤノマミの人々のための意識啓発や政治的活動のツールとなったのです。
シャーマンのダビ・コペナワ(1956年頃生まれ)は、ヤノマミを代表する重要人物の一人です。1967年にヤノマミのコミュニティを襲い、多くの人々の命を奪った麻疹の大流行の生存者であるコペナワは、1970年以降、非先住民社会の欲望や暴力から部族を守るための闘いに身を投じます。そして、アマゾンの動植物や環境と調和した暮らしを営んできた先住民社会の知恵の伝承に取り組んでいます。
近年は、アンドゥハル、コペナワ、そして多くの活動家たちが力を合わせ、ヤノマミの主権を守るための闘いを日々繰り広げています。ヤノマミ独自の世界観や土地の権利の尊重を求める闘争です。1992年にはヤノマミ居留地が保護区として指定され、ようやくその権利が完全に保証されることとなりました。
本展覧会の前半では、アンドゥハルが1970年から1980年代にかけて撮影した写真作品が、コペナワの言葉とともに展示されます。この時期、アンドゥハルはヤノマミの世界観を翻訳し、非先住民社会に向けて発信することに取り組んでいました。また、過去から現在まで、様々な時代のヤノマミのアーティストやシャーマンが制作したドローイングや映像作品も展示されます。ブラジルのヤノマミの人々を多角的な視点で捉えたこれらの作品は、目に見えない彼らの精神世界を垣間見せてくれます。
展覧会の後半では、《ヤノマミ・ジェノサイド:ブラジルの死》と題した映像と音声によるインスタレーション作品が展示されます。この作品は、非先住民社会による侵略がヤノマミ居住地域にもたらした脅威を告発します。特に、ブラジルの軍事独裁政権(1964―1985年)が推進したアマゾン占領政策によって、ヤノマミの置かれた状況はさらに悪化しました。
居住地域への侵入や違法行為(採掘や伐採、薬物密売など)がヤノマミにもたらす問題は、決して新しい問題ではありません。こうした問題は、ヤノマミだけでなく、ブラジル国内外の数多くの先住民を苦しめています。
アマゾンにおける破壊的行為や地球規模の気候変動危機がニュースでも大々的に取り上げられるようになった今、本展は、世界各地の先住民の人々への理解やその主権の拡大のためにアートが担う役割を示すものでもあります。本展は、ただの美術展にとどまらず、ヤノマミの人々の存在を可視化し、新たな脅威から守り続けるための基盤となるのです。
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ルシアン・クレルグ
ジプシー・テンポ
嶋臺(しまだい)ギャラリー
開館時間: 10:00–18:00
休館日: 4月16日・23日・30日、5月7日Lucien Clergue
ジプシー・テンポ
Supported by Cheerio
嶋臺(しまだい)ギャラリー
10:00–18:00休館日4月16日・23日・30日、5月7日大人 : ¥800
学生 : ¥600
(学生証の提示をお願いします。)世界最古の写真祭「アルル国際写真祭(Les Rencontres d'Arles)」の創設者であるルシアン・クレルグ(1934 - 2014)は、海辺のヌードの作品や、画家パブロ・ピカソとも親しく、そのポートレイトでも知られる写真家です。晩年、文化への多大な貢献が評価され、写真家として初めてフランス・アカデミーにノミネートされました。南フランスに位置するアルルは、ローマの人々が地方分権の首都の一つとして建設した比類なき遺産都市です。南仏の湿地帯に位置し、その独特の光は画家フィンセント・ヴァン・ゴッホを魅了し、彼の代表作となる絵画の数々が生まれたのもこの地でした。
アルルはジプシー(ロマ)の一族の故郷でもあります。年に一度、5 月になると、近くの小さな村「サント=マリー=ド=ラ=メール」で行われるジプシーの人々の守護聖女、黒人の召使だったとされるサラの巡礼のために、ヨーロッパ中から多くのジプシーの人々がやってきます。
アルルは1950 年代、写真家としてのクレルグにとって最初の撮影地でした。彼はすぐにジプシーのコミュニティと関わり合い、彼らの生活を撮影するようになりました。ジプシーの人々がナチスにより収容所に送られ、他のどの民族よりも後回しにされて解放された第二次世界大戦後のことです。
本展の作品には、ジプシーの数家族の日常生活、荷馬車で生活するノマドの伝統、宗教の重要性、そして鮮烈な存在感を放つジプシーの音楽とダンスが写し出されています。自身もヴァイオリン奏者であったクレルグは、のちにジプシーのギター奏者の巨匠となるマニタス・デ・プラタとその友人、ホセ・レイエス(後のジプシー・キングスのメンバーの父親)を見出し、世界に向けて彼らを興行するようになりました。そうしてマニタスは 60 年代を代表するスターミュージシャンのひとりとなり、日本を含む世界各地でコンサートが開催されました。
本展では、これまであまり発表されることがなかったクレルグの最高峰の作品群であり、アルルでの日常からニューヨーク・カーネギーホールまでを写した、ジプシーの人々の貴重な旅が展示されています。
クレルグはこうした旅を通じて、近代写真の巨匠として名高いアンセル・アダムスやエドワード・ウェストンらアメリカ西海岸の写真家たちと出会います。そして 1970 年に友人のジャン=モーリス・ルーケットとともに創設したばかりの写真祭に彼らを招聘し、その作品を展示しました。それが後に KYOTOGRAPHIE をはじめ多方面にインスピレーションを与えることになる、世界初の写真フェスティバル「アルル国際写真祭」の始まりとなるのです。 -
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ヴィヴィアン・サッセン
PHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990–2023
京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)
開館時間: 10:00–18:00
休館日: 4月16日・23日・30日、5月12日Viviane Sassen
PHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990–2023
Presented by DIOR
In collaboration with the MEP – Maison Européenne de la Photographie, Paris
共催:京都新聞
助成:駐日オランダ王国大使館京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)
10:00–18:00休館日4月16日・23日・30日、5月12日
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KYOTOGRAPHIEは、ヴィヴィアン・サッセンの日本初となる大規模個展を開催いたします。本展は2020年から続くMEP(ヨーロッパ写真美術館 フランス パリ)とのパートナーシップの一環であり、2023年にMEPで開催されたヴィヴィアン・サッセンの回顧展の巡回となります。
本展では多様性あふれる十数のシリーズ作品を展示するとともに、過去作、未発表作品、ビデオインスタレーションなど、200点以上の作品を通じサッセンの30年にわたる創作活動の足跡をたどります。表層と深層、静謐さと力強さという両極で揺れ動きながらもそのあわいにある本質を浮かび上がらせることで、サッセンがいかに作品を繊密に作り上げていくかについて迫ります。
ヴィヴィアン・サッセン(1972年生まれ、アムステルダム在住)はファッションデザインを学んだ後、オランダのユトレヒト芸術大学で写真に取り組みました。1992年に卒業してからは、アーティストおよびファッションフォトグラファーとして写真に専心します。そうしてアートとファッションという異なる2つの領域を横断することで、作品における鮮やかな色彩、仕掛け、フレーミング、被写体へのアプローチにおいても異彩を放ち、唯一無二で多彩な視覚表現を生み出しています。
子どもの頃にアフリカで育ったバックグラウンドや、文学や美術史も、サッセンにインスピレーションを授けています。またシュルレアリスムの遊び心、曖昧さ、神秘性にも通じるものを見出し、作品にもその影響が見受けられます。死、セクシャリティ、欲望、他者──そのすべての関わりが、写真や映像、ペインティング、コラージュを組み合わせる作品群を構成するモチーフへと昇華されています。そうしてリサーチプロジェクトさながらに、サッセンは首尾一貫したコンセプチュアルな作品を生み出すことで、自身を捉えて離さない観念の深淵へと踏み入ります。サッセンの作品が持つさまざまな表情が、本展であらたに解き明かされることでしょう。
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ティエリー・アルドゥアン
種子は語る
二条城 二の丸御殿 台所・御清所
開館時間: 09:30–17:00
休館日: 無休Thierry Ardouin
種子は語る
Presented by Van Cleef & Arpels
In collaboration with Atelier EXB二条城 二の丸御殿 台所・御清所
09:30–17:00休館日無休大人 : ¥1,200
学生 : ¥1,000
(学生証の提示をお願いします。)種子は神秘的な存在です。種子を観察することは生命の歴史を紐解くことであり、人類誕生以前の自然界を再考・再認識 することでもあります。種子の物語は時空を超越した旅であり、それはミクロの旅であると同時にマクロの旅でもあります。 地球の気候が大きく変動した第三紀には、植物は新たな生息域を開拓し、適応していくことを迫られました。様々な試練を乗り越えるために必要なエネルギーを蓄えた貯蔵庫付きの小さなカプセル、すなわち種子は、多彩な移動戦略を編み出しました。カラフルな色彩で鳥を惹き付けるもの、翼を生やしたもの、防水性の外皮をまとって波に乗り流されるもの、風に飛ばされるもの、動物の毛皮にくっつくためのフックを備えたもの......何千年もの時間の中で、種子の旅は地球上に植物の豊かな多様性を生み出してきたのです。
野生の植物の栽培化や商品化を通じて、種子は人類文明の発展にも寄与してきました。新石器時代には、作物の栽培によって人類の定住が始まり、社会規範や土木技術が形成されます。古代では植物は学者たちにとって魅力的な研究テーマとなり、中世には物々交換や収集の対象でした。近代に入ると、種子は探検家たちとともに長距離を移動するようになります。農 業、科学、美学、商業を背景とした人類の欲望に翻弄されながら、種子は今も世界中を駆け巡っています。 植物のエネルギーは国境を越えて広がり、その壮大なスケールの旅は地球の多様性の象徴となっています。種子は、政治や科学、知識が絡み合った、人間と自然の複雑な関係性を物語ります。
本展は、写真家ティエリー・アルドゥアンとグザヴィエ・バラルおよびフランスの出版社 Atelier EXB との長年にわたるコラ ボレーションの一環として開催されます。アルドゥアンは、世界各地の 500 種以上の植物の種子の写真を撮影しました。撮影された種子の大半が、フランス・パリの国立自然史博物館の所蔵品です。撮影にはオリンパスが開発した実体顕微鏡を 使用し、被写体となる種子の選定やライティングには細心の注意を払っています。その結果、捉えられたイメージは意外性あふれる形態と美しさを提示しています。アルドゥアンは、本展のために、京都の農家が代々受け継ぎ栽培している「京野菜」の 種子の撮影も行いました。種子の物語は、原始農業から現代のハイブリッドな種子に至るまで、果てしない多様性に満ちた 世界における生命の生存戦略に改めて光を当てます。種子を通じて、私たち人類の起源だけでなく、未来の世界像までもが見えてくるのです。
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柏田テツヲ
空(くう)をたぐる
両足院
開館時間: 10:00–17:00
休館日: 4月19日・20日・24日、5月1日・8日Tetsuo Kashiwada
空(くう)をたぐる
Ruinart Japan Award 2023 Winner Presented by Ruinart
両足院
10:00–17:00休館日4月19日・20日・24日、5月1日・8日入場無料
大阪で生まれ育った柏田は、高校の3年間を野球留学で宮崎県の山奥で過ごし、部活動で禁止されていたため携帯電話を持たずに暮らしました。多感な時期に情報から遮断された反動もあり、日々接する自然の移ろいや脅威に毎日のように心動かされ、五感が研ぎ澄まされていったと語ります。19 歳で写真による制作活動を始めるようになってからも、自ずと自然は作品づくりのモチーフのひとつとなりました。
柏田は屋久島で滞在制作をした作品で 2023年の KYOTOGRAPHIE インターナショナル・ポートフォリオレビューの参加者から選ばれる「Ruinart Japan Award」を受賞。
2023年秋にフランスのランス地方を訪れ、世界最古のシャンパーニュブランドであるルイナールのメゾンにアーティスト・イン・レジデンスとして2週間滞在します。現地で職人たちと話したり、ブドウ畑やルイナールが再生を試みる森と対峙したりするなかで、1、2 度の気温変化でブドウの糖度が変わりシャンパーニュ作りに大きな影響を与えることを知り、地球の温暖化がいかに自然環境に影響を与えているかを目の当たりにします。一個人である自分に何ができるのかを考えながらブドウ畑を歩いていたとき、柏田は蜘蛛の巣に引っ掛かりました。ほとんど目に見えないながらも存在するという点で、蜘蛛の巣と地球の温暖化に通ずるものを感じ、インスピレーションを受けた作品を現地で滞在しながら制作しました。
柏田の手によりブドウ畑の葉をつたうさまざまな色の糸を用いて張り巡らされた「蜘蛛の巣」は、私たち人間の行いそのもののメタファーのようでもあります。温暖化という、目に見えない現象を引き起こしたり、はたまた影響を受けたりしながらも、地球とともに生きていく私たち人間の行いは、まるで空(くう)をたぐるようなものかもしれません。柏田の作品は、生命の強さと儚さ、自然の多様性と希少性、そして人間の領分の有限と無限をひもとき、ひもづけていくかのようです。
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現在地から
ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)
カサブランカは映画じゃない
ASPHODEL
開館時間: 11:00–19:00
休館日: 4月17日・24日、5月1日・8日Yoriyas (Yassine Alaoui Ismaili)
カサブランカは映画じゃない
Supported by agnès b.
ASPHODEL
11:00–19:00休館日4月17日・24日、5月1日・8日大人 : ¥800
学生 : ¥600
(学生証の提示をお願いします。)ヨリヤスがプロのブレイクダンサーおよびコレオグラファー(振付師)として活躍し世界各所を訪れた際、出身地を聞かれ、カサブランカ出身だと答えると、人々はこぞって映画『カサブランカ』を思い浮かべ、オリエンタルな雰囲気やラクダや砂漠を連想しました。現地で暮らす自身にとってのカサブランカと、人々が思い描くカサブランカに違和感を感じ、その都度「そうじゃなくて、カサブランカは実際には伝統と現代性が混在している街なんだ」とヨリヤスは説明せざるを得ませんでした。
その後膝をケガして競技や練習を中断せざるを得なくなり、カサブランカに戻ったヨリヤスは、世界中を興行していた際に大会の会場とホテルの場所を覚えておくために使っていたカメラを手に、リハビリもかねてカサブランカの街を歩き始めます。
ヨリヤスは「まるで透明人間になったかのように」街に身を置き写真を撮ることで、内側から、より深い立ち位置からカサブランカを捉えます。そしてカサブランカに生まれ育ち、今も住んでいる一人のモロッコ人としての視点で、東洋と西洋、伝統と現代性、コミュニティと個性といった対照的な瞬間をフレームの中に収めます。まさに写真表現により、カサブランカという街の現在をより鮮明に浮かび上がらせるのです。
「カメラのフレームはまるで劇場の舞台のようなもの。フレームに入ってくる人々は私のダンサーだ。カメラを動かすことで、私は知らないうちに被写体に振り付けをしている。面白い振り付けが目に飛び込んで来たら、シャッターを押す。私は空間、動き、繋がり、物語をすぐさま理解するようにトレーニングされている。私は振り付けをするように写真を撮る」
こう述べるヨリヤスの感性で切り撮られたカサブランカの風景や人々は、街が持つ多面性や、土地に内包する多様性の真価を私たちに語りかけてくるかのようです。
この展覧会を「まっすぐ見るのではなく、身体を傾けたり、動き回ったり、踊るように見てもらいたい」、ヨリヤスはそう願っています。
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イランの市民と写真家たち
あなたは死なない──もうひとつのイラン蜂起の物語──
Sfera
開館時間: 12:00–19:00
休館日: 4月17日・24日、5月1日・8日Iranian citizen and photographers
あなたは死なない──もうひとつのイラン蜂起の物語──
In collaboration with
Le Monde Sfera
12:00–19:00休館日4月17日・24日、5月1日・8日大人 : ¥600
学生 : ¥500
(学生証の提示をお願いします。)クルド名で「ジーナ」と呼ばれるイラン人女性、マフサ・アミニ、2022年9月当時22歳。彼女はラジオの司会者になることを夢見て、故郷のイラン西部クルディスタンのサッケズで衣料品店を開いたばかりでした。同年9月13日、イランの首都テヘランを家族で訪ねていた彼女は、「非イスラム的な外見」という理由で警察に逮捕されました。9月16日、彼女は拘留中に受けた暴行が原因で死亡。彼女の死は、1979年に樹立されたイラン・イスラム共和国の歴史上、最も大規模な抗議の渦を巻き起こしました。葬儀の日、彼女の墓には「親愛なるジーナ、あなたは死なない、あなたの名前はシンボルになる」という叔父の言葉が書かれた質素なコンクリートブロックが置かれます。この言葉とその予言的な強靭さが、彼女の死をイラン社会全体への抗議運動へと導きました。当初は革命もイラン・イラク戦争(1980ー1988年)も経験していない若者たちが主導したこの運動は、現在では他の年齢層や社会のほとんどすべての階層に男女を問わず影響を及ぼしています。その目的は、当局の命令に背き「生きることを取り戻す」こと。人々はスローガンに「女性、生命、自由!」と掲げ、声高に叫びました。イラン当局が公式の情報チャンネルでこの運動の画像を拡散したくなかったという背景もあり、本展の写真や動画(ほとんどがソーシャルメディアからの引用)を撮影したのは、その多くが匿名を希望するイラン市民です。ル・モンド紙と2人のイラン人同僚、パヤム・エルハミとファルザド・セイフィカランの尽力により、本展の写真や動画をオンライン上にて照合し撮影された日付と場所を確認することができました。また匿名を含むイラン人フォトグラファーの作品も今回の展示のために集められました。「あなたは死なない」は、イランの民衆の勇気に捧げる頌歌であり、イランの歴史における重要なエピソードを不朽のものとするためのマニフェストなのです。
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現在地から
ジャイシング・ナゲシュワラン
I Feel Like a Fish
TIME'S
開館時間: 11:00–19:00
休館日: 無休Jaisingh Nageswaran
I Feel Like a Fish
KG+SELECT Award 2023 Winner
TIME'S
11:00–19:00休館日無休大人 : ¥600
学生 : ¥500
(学生証の提示をお願いします。)ジャイシング・ナゲシュワランは、自宅にある水槽の中の魚を見るたびに、自分自身を見ているようだと言います。魚には向こう側に広がる世界が見えています。しかし生きるのに適切だと思われるその世界に魚が触れようとすると、目の前に壁が立ちはだかります。魚が生きて水槽から出るためには、奇跡を起こさなければなりません。インドのカースト制度は、そのような金魚鉢を数多く生み出しています。そしてカーストが低いほど、鉢のサイズは小さくなります。
ジャイシングの祖母は、タミル・ナードゥ州の小さな村、ウシランパッティの出身でダリット系の家庭に生まれました。ダリットは数千年前から続くインドのカースト制度の最下層の人々のことで、「触れてはならない」カーストとして知られ、差別、排除、暴力に直面しています。そこで彼女はヴァディパッティに引っ越して、学校のないダリットも通えるような小学校を設立しました。彼女はナゲシュワラン家の最初の奇跡でした。のちにジャイシングもこの小学校に通いました。
ジャイシングが写真家になろうと決めたとき、自分のカーストを捨て、ダリットであることを忘れるための唯一の方法は、都会に出ることだと考えました。父親は、差別が彼につきまとうだろうと警告しました。
長らくジャイシングは自分を第2の奇跡だと考えてきました。国際的な都市を転々とし、著名人を撮影し、映画の道へも進みました。しかし、写真を撮れば撮るほど、彼はダリットがインドの視覚的意識の中にほとんど存在しないことに気づきました。そしてある日突然大病を患い貯蓄がなくなり、コロナウイルスにより故郷に戻ることを余儀なくされました。
今、ジャイシングは自分が生まれ育った土地の美しさを目の当たりにして、写真家としてキャリアを積んだはずの自分が持ち合わせていなかった親密なつながりを実感しています。そうして気が付いたのです──自分が今、この世でいちばん失いたくないものは、家族と家なのだと。そしてこう語ります。
「私はもっと深く、金魚鉢の中に入ってしまったのです。私の仕事は、ダリット・コミュニティにおける現在進行形の残虐行為を訴えることです。私は毎日のようにダリット・コミュニティの人々が殺されたり、カーストに基づく様々な残虐行為を目撃したりするニュースで目を覚まします。アートを通じ私に生み出された意識には、もっと深い物語があることを実感しています。カースト制度が根絶される日が来るまで、私は金魚鉢の中の魚のように感じ続けるでしょう」
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川田喜久治
見えない地図
京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階
開館時間: 10:00–18:00
休館日: 4月15日・22日Kikuji Kawada
見えない地図
Supported by SIGMA
京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階
10:00–18:00休館日4月15日・22日
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川田喜久治は、広島と長崎への原子爆弾の投下から20年後にあたる1965年に、敗戦という歴史の記憶を記号化するメタファーに満ちた作品『地図』を発表。このデビュー作はセンセーショナルな驚きとともに、自身の初期のスタイルを決定的なものにしました。以来現在に至るまで、常に予兆に満ちた硬質で新たなイメージで私たちの知覚を刺激し続けています。
本展では、戦後を象徴する「地図」、戦後から昭和の終わりを見届け、世紀末までを写す「ラスト・コスモロジー」、高度成長期に始まり、近年新たに同タイトルで取り組んでいる「ロス・カプリチョス」の3タイトルを一堂にご覧いただきます。この3作品はこれまでそれぞれ発表の機会を得ていますが、ここに寄り添う65年という長い時間がひとつの場所を構成するのは初めてとなります。
自身の感覚の中に時代の論理を見る川田の極めて個人的な視座が捉えた時間と世界は、如何にして観る者の世界にシンクロしていくのでしょうか。
「Source」には、起源やオリジンといった名詞のほかに、「入手する」という動詞の意味があるそうです。レイト・スタイルにおいて「見えない地図」を手に入れた写真家は、刻一刻と変化する現代の張り詰めたカタルシスを写し、写真というメディウムと、時代と場所を自在に行き来きし、「この時、この場所」を俯瞰しようとします。
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現在地から
潮田登久子
冷蔵庫+マイハズバンド
京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階
開館時間: 10:00–18:00
休館日: 4月15日・22日Tokuko Ushioda
冷蔵庫+マイハズバンド
From Our Windows
Supported by KERING’SWOMEN IN MOTION 京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階
10:00–18:00休館日4月15日・22日大人 : ¥1,200
学生 : ¥1,000
(学生証の提示をお願いします。)繊密な感性でそのものに宿る儚さや根源的な生命力を浮かび上がらせ、国内外で高い評価を受けている写真家・川内倫子が対話的プログラムである本展のパートナーとして名を挙げたのは潮田登久子。「女性の社会進出が困難な時代から写真家として活動をされ、目の前の生活に真摯に向き合われていることをリスペクトしている」と川内は潮田について語ります。本展では、それぞれが家族を撮影したシリーズが一堂に会します。
川内は、生まれたときから一緒に暮らし学生の頃から撮影していた祖父の死や、兄夫婦の甥の誕生など、13年にわたり家族を撮影し、結果として家族の循環がテーマとなった〈Cui Cui〉と、自分自身の出産から約3 年間、子育ての中で出会った子どもの姿や身近な風景をとらえた〈as it is〉のシリーズを展示します。
潮田は 1975 年からフリーランスの写真家として活動をスタート。写真家の島尾伸三との間に1978 年に娘のまほが生まれてすぐ、 1888 年築の東京・豪徳寺の洋館(旧尾崎テオドラ邸)に引っ越します。本展では娘が生まれてからの約 7年間にわたり、夫や娘、洋館での暮らしをとらえた〈マイハズバンド〉と、自分の生活を記録に留めるように自宅の冷蔵庫を定点観測したことから始まり、その後親族や知人、友人らの冷蔵庫を20年におよび撮影した〈冷蔵庫/ ICE BOX〉のシリーズを展示します。
家族、住まい、日々の暮らし、死と生──誰しもにとって身近にある、けれど時とともに姿かたちが変わりゆく存在や営みを一つひとつ丁寧に掬い上げる2 人の写真家のまなざしは、私たちの日常に潜むささやかな瞬間に、時代を超えてそれぞれの光を見出しているのです。
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現在地から
川内倫子
Cui Cui + as it is
京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階
開館時間: 10:00–18:00
休館日: 4月15日・22日Rinko Kawauchi
Cui Cui + as it is
From Our Windows
Supported by KERING’SWOMEN IN MOTION 京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階
10:00–18:00休館日4月15日・22日大人 : ¥1,200
学生 : ¥1,000
(学生証の提示をお願いします。)繊密な感性でそのものに宿る儚さや根源的な生命力を浮かび上がらせ、国内外で高い評価を受けている写真家・川内倫子が対話的プログラムである本展のパートナーとして名を挙げたのは潮田登久子。「女性の社会進出が困難な時代から写真家として活動をされ、目の前の生活に真摯に向き合われていることをリスペクトしている」と川内は潮田について語ります。本展では、それぞれが家族を撮影したシリーズが一堂に会します。
川内は、生まれたときから一緒に暮らし学生の頃から撮影していた祖父の死や、兄夫婦の甥の誕生など、13年にわたり家族を撮影し、結果として家族の循環がテーマとなった〈Cui Cui〉と、自分自身の出産から約3 年間、子育ての中で出会った子どもの姿や身近な風景をとらえた〈as it is〉のシリーズを展示します。
潮田は 1975 年からフリーランスの写真家として活動をスタート。写真家の島尾伸三との間に1978 年に娘のまほが生まれてすぐ、 1888 年築の東京・豪徳寺の洋館(旧尾崎テオドラ邸)に引っ越します。本展では娘が生まれてからの約 7年間にわたり、夫や娘、洋館での暮らしをとらえた〈マイハズバンド〉と、自分の生活を記録に留めるように自宅の冷蔵庫を定点観測したことから始まり、その後親族や知人、友人らの冷蔵庫を20年におよび撮影した〈冷蔵庫/ ICE BOX〉のシリーズを展示します。
家族、住まい、日々の暮らし、死と生──誰しもにとって身近にある、けれど時とともに姿かたちが変わりゆく存在や営みを一つひとつ丁寧に掬い上げる2 人の写真家のまなざしは、私たちの日常に潜むささやかな瞬間に、時代を超えてそれぞれの光を見出しているのです。
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現在地から
ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)
KIF KIF KYOTO
出町桝形商店街 ― DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space
開館時間: 11:00–18:00
休館日: 4月16日・23日・30日、5月7日Yoriyas (Yassine Alaoui Ismaili)
KIF KIF KYOTO
KYOTOGRAPHIE African Residency Program
出町桝形商店街 ― DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space
11:00–18:00休館日4月16日・23日・30日、5月7日入場無料
2020年、DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Spaceの出町桝形商店街でのオープンを機に、KYOTOGRAPHIEはアフリカの若手の現代アーティストをアーティスト・イン・レジデンスに迎え、京都のローカルな商店街と多様性のあるアフリカをダイレクトにつなげ、毎年新作を発表しています。2024年はモロッコのアーティスト、ヤシン・アラウイ・イズマリ(ヨリヤス)を招聘します。
ヨリヤスは2023年11月にここ出町桝形商店街に数週間滞在しました。ヨリヤスにとっては初の来日でしたが、幼少期に日本のアニメをよく見ていたり、10代の頃に長らくゲーム「キング・オブ・ファイターズ」でユーリというキャラクターでプレイしたり、ブレイクダンサー兼コレオグラファー(振付師)として活躍していた際に関西のダンスクループとコラボレーションしたりするなど、何かと日本との縁が深く、滞在中は幼少期や思春期の自分と向き合う時間でもあったと語ります。
滞在中、日本語が話せないヨリヤスは、ボディランゲージでコミュニケーションを取りながら、鴨川周辺の人々や風景、ストリートの若者、出町桝形商店街の人々を撮影します。かつてダンサーとして身体表現をしていたヨリヤスにとって、舞妓や芸妓との出会いはとりわけ格別なものでした。彼女たちの身のこなしや空間での動きに惹かれ、その動きにあわせヨリヤス自身も動きながら撮影し、まるで即興の身体表現のように一緒に作品を作り上げていったのです。
ヨリヤスはいつも身体性を駆使しながら写真を撮っており、京都でもさまざまなアングルを試しながら撮影しました。「同じように写真を見ている人たちにも、まっすぐ見るのではなく、動き回ったり、一緒に踊ったりしてもらえたら」と語ります。
タイトルの「KIF KIF KYOTO」は「(モロッコも)京都もどちらも同じ」を意味します。ヨリヤスは日本とモロッコに通じるものを感じ、色彩、住環境、家族のつながり、文化的な豊かさ、伝統職人へのリスペクトなど、どこか似た部分のある京都とモロッコの表情を捉えました。京都とモロッコ、それぞれの地で撮影された作品が対となってアーケードに登場し、商店街に新たな風を運びます。