EN JA
EXHIBITIONS TICKETS
  • 1

    ファトマ・ハッスーナ

    The eye of Gaza

    八竹庵(旧川崎家住宅)

    開館時間: 10:00–19:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    1

    FATMA HASSONA

    The eye of Gaza

    八竹庵(旧川崎家住宅)

    10:00–19:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    入場無料

    「死と破壊のただ中で、私は"生"を探しているのです」
    1年ものあいだ、遠く離れながらも数えきれないほどのメッセージを交わしていたファトマと私。そのなかでファトマが、ある日私に語った言葉です。故郷ガザに閉じ込められ、イスラエルの爆撃下にあった彼女。私は当時世界を旅していましたが、彼女に電波が届くときはできる限りいつでも連絡が取れる場所に居ようとしていました。
     あれほど制限された環境のなかで、これほど強い意志をもって行動する人を、私は他に知りません。また、多くの制約のもとで撮られた写真が、これほどまでに「自由」を放っているのも見たことがありません。
     破壊されゆくガザにハッスーナが向ける眼差しは、揺るぎないものでした。センセーショナルでもなく、覗き見るような視点でもない。破壊の事実とその意図を正面から写し取った彼女の写真は、虐殺という行為の証拠として欠かすことのできないものです。同時に、彼女のやわらかな視線は、奪われたガザの人びとの尊厳をすくい上げ、何も残されていないなかでも誇り高く立つ人びとの姿を映し出します。崩れ落ちて積み重なった広大なコンクリートの山に一片の色彩が宿る、その光景こそが、消えることのない人間の存在を、そして尊厳を示しているのです。
     「かれらは私たちを打ち負かすことはできない」 彼女は初めて会った日にそう言いました。私が戸惑った表情をしているのを見ると、こう続けました。 「かれらは私たちを打ち負かすことはできない。なぜなら、私たちには失うものが何もないから」
     「ガザの眼(The Eye of Gaza)」とも呼ばれていたファトマ・ハッスーナは、25歳になったばかりのある日、イスラエル国防軍にピンポイントで狙われた空爆で家族6人とともに殺害されました。彼女の遺したものは決して多くはありません。しかしそのレガシーは、パレスチナの人々の存在を示す証として、消えることなく残り続けるでしょう。

    文:セピデ・ファルシ

  • 2

    A4 ARTS FOUNDATION

    Photo book!
    Photo-book!
    Photobook!

    八竹庵(旧川崎家住宅)

    開館時間: 10:00–19:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    2

    A4 ARTS FOUNDATION

    Photo book!
    Photo-book!
    Photobook!

    In collaboration with A4 Arts Foundation

    八竹庵(旧川崎家住宅)

    10:00–19:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    入場無料

    「Photo book! Photo-book! Photobook!」は、南アフリカにおけるフォトブック(写真集)の歴史を紐解く世界初の展覧会プロジェクトです。2020年にスタートしたこのプロジェクトは、1945年から2025年までに出版された多様かつ膨大な写真集のアーカイブを通して、南アフリカにおける現代的な写真集文化の展開を紹介することを目的としています。
     タイトルの「Photobook」がさまざまな表記になっているように、写真集制作の意味や定義はいまなお変化し続けています。本展は、古典的な意味合いでの一般的な写真集だけでなく、アーティストブックや実験的な文学作品、コーヒーテーブルブック(大判の豪華本)、アクティビスムから生まれたパンフレット、さらには国家や企業によるプロパガンダの実例まで、幅広く展示しています。ほとんどの本は実際に手に取ってページをめくり、閲覧することができます。
     「手に取れる」ということこそが、この展覧会の主なコンセプトです。本は飾るためのものではありません。手に取って、その内容と向き合うべきものなのです。2022年にケープタウンのA4 Arts Foundationで開催された「Photo book! Photo-book! Photobook!」では、ギャラリーの内周にぐるりと設置された棚に写真集を時系列で並べて展示していました。こうした展示方法は、複雑な歴史のストーリーを伝えるうえで有効な手法として確立されています。
     京都の八竹庵(旧川崎家住宅)2階での展示も同様に時系列にそった配置ですが、ここでは3つのテーブルを展示台として使用しています。これは、国家による抑圧と検閲が写真集をも巻き込み、政治的緊張に包まれたアパルトヘイト政策下(1948-1994年)において、いかに現代的な写真集の出版文化が南アフリカで芽生えたかを示しています。また、民主化後(1994年から現在)のセクションでは、写真表現やブックデザインにおける革新的な取り組みの事例も数多く紹介しています。
     さらに、過去40年間における、重要かつ傑出した写真集をピックアップして紹介する展示スペースも設けています。

    文:ショーン・オトゥール

  • 3

    アントン・コービン

    Presence

    嶋臺(しまだい)ギャラリー

    開館時間: 10:00–18:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    3

    ANTON CORBIJN

    Presence

    Supported by agnès b.
    With subsidy of the Embassy of the Kingdom of the Netherlands

    嶋臺(しまだい)ギャラリー

    10:00–18:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥1,500

    学生 : ¥800
    (学生証の提示をお願いします。)

    アントン・コービンの写真は、決して「完璧」とは言えないでしょう。粒子は粗く、ブレや歪みがあり、型破りな構図や形式的なルールから逸脱しているものもあります。しかし、コービンの作品のトレードマークとも呼べる粗々しいスタイルを生み出しているのは、まさにその「不完全さ」なのです。
     アントン・コービンは1955年オランダのロッテルダム近郊にある保守的な村の牧師の
    家庭に生まれ育ちました。音楽はコービンにとって、現実逃避の手段でした。「音楽は自由で刺激的な、素晴らしい世界を教えてくれました」とコービンは語ります。17歳のときに一家でオランダ北部の大都市に引っ越し、父親の古いカメラを借りて、街の広場で演奏するあるバンドの撮影を始めました。その写真を音楽雑誌に送ると、見事に採用されたのです。その後『New Musical Express』誌の専属フォトグラファーとなったコービンは、数十年におよぶそのキャリアを通じて、ミュージシャンやアーティスト、デザイナー、モデル、画家や文化人に至るまで、時代を代表し強い影響力を持つ人びとを撮影し続けました。
     本展では、50年以上にわたるコービンのキャリアから、100点近い作品を展示します。初期のポートレートからスタートし、最後には1980年代にヨーロッパ各地の墓地で撮影した〈Cemetery〉シリーズが登場します。墓石からスーパースターまで、被写体は違ってもコービンは常に写真を通じて人間の深層心理や存在のありかを明らかにすることを試みてきました。「私の作品にはとても人間臭いところがあります」と彼は語ります。そして、その不完全さと粗々しいタッチこそが、被写体をかつてないほど生き生きとした姿で画面に焼き付ける力となっているのです。

  • 4

    リンダー・スターリング

    LINDER: GODDESS OF THE MIND

    京都文化博物館 別館

    開館時間: 10:00–19:00
    休館日: 4月20日・27日、5月7日・11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    4

    LINDER STERLING

    LINDER: GODDESS OF THE MIND

    Presented by CHANEL Nexus Hall

    京都文化博物館 別館

    10:00–19:00休館日4月20日・27日、5月7日・11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥1,200

    学生 : ¥600
    (学生証の提示をお願いします。)

    「Linder: Goddess of the Mind」は、アーティストでありパンクの精神を体現してきたリンダー・スターリングの作品を展示する、日本初の個展となります。
     リンダー・スターリングは50年以上にわたり、最初に構想した当時と変わらず、今なお切実で偶像破壊的な力を宿すイメージを創り続けてきました。1954年にリバプールで生まれたリンダーは、1970年代後半のパンクシーンから頭角を現し、イギリスの最も影響力のある現代アーティストの一人となりました。フォトモンタージュを大胆に駆使し、欲望や人体に対する概念に挑み、再構築したことで高く評価されています。
     彼女はイメージを形が変えられる変幻自在なものとして捉え、その創作活動を通じて、美しさやユーモアを交えながら、既成概念に挑み続けています。ハンナ・ヘッヒやベルリン・ダダイストの精神、シュルレアリスムの夢幻的な挑発から着想を得ながらも、現代的な感性と視点を鮮烈に示しています。彼女の手法は、見つけたイメージを切り抜き、コラージュし、再構築することで、欲望という装置から身体を取り戻し、権力の構造を問い直します。
     リンダーとの綿密なコラボレーションのもと構成された本展覧会では、彼女の主要な作品が紹介されます。これは昨年ロンドンのヘイワード・ギャラリーで開催され話題となった大規模回顧展「Linder: Danger Came Smiling」に続くのもであり、英国アートシーンにおいてフェミニズムの先駆者として独自の地位を築いてきた彼女の存在を強く裏付けるものです。

  • 5

    フェデリコ・エストル

    シャイン・ヒーローズ

    誉田屋源兵衛 黒蔵

    開館時間: 10:00–18:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    5

    FEDERICO ESTOL

    シャイン・ヒーローズ

    KG+SELECT Award 2025 Winner

    誉田屋源兵衛 黒蔵

    10:00–18:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥800

    学生 : ¥400
    (学生証の提示をお願いします。)

    ボリビアの都市エル・アルトに夜明けが訪れる。丘の上には仮面をつけた一列の人影が現れ、マントを冷たい風にはためかせながら、隣接するラパスの街を見下ろしている。長年にわたりこの街は二人のスーパーヴィラン(超悪党)、ミスター・バロとミスター・フモに脅かされてきた。彼らは黄色い煙の雲で市民を呪い、靴を汚してしまうのだ。しかし、毎日街へ下りてきて悪を退治する靴磨き職人たちのおかげで、街に清潔と平和が再びもたらされる──

     これは、ウルグアイ出身のアーティスト、フェデリコ・エストルによる協働型写真プロジェクト〈シャイン・ヒーローズ〉の物語です。ボリビア・ラパスの街頭で働くストリート・ワーカーたちに対する嫌悪的な偏見を払拭することを目的として2015年に始まり、60人の靴磨き職人たちと彼らのためのチャリティ新聞『Hormigón Armado(鉄筋コンクリート)』とのコラボレーションによって発展を遂げてきました。
     ラパスやエル・アルト近郊には、毎日およそ3,000人の靴磨き職人が客を求めて街に繰り出しています。彼らを特徴づけているのは、周囲に気づかれないように着けているスキーマスクです。近所では、彼らが靴磨きの仕事をしていることは誰も知りません。街の中心部へ向かうときは顔を隠しているので、家族でさえかれらがどんな仕事をしているか知らないほどです。マスクは彼らの最強のアイデンティティであり、自分たちを見えなくするのと同時に団結させます。この集団的な匿名性こそが、他の社会と対峙する際に彼らをより強くし、仕事によって被る排除に対する抵抗の手段となっています。
     エストルは15年以上にわたり、南米でコミュニティ・オーガナイザーとして活動してきました。その実践の基盤には、ブラジルのふたりの高名な思想家、パウロ・フレイレとアウグスト・ボアールの影響があります。フレイレは1968年出版の著書『被抑圧者の教育学』で、教育を一方的な知識の伝達ではなく、協働的な営みとして捉え直しました。そこから1970年代に生まれたのが、ボアールの「被抑圧者の演劇」です。これは観客参加型の演劇で、パフォーマンスを通して現実の抑圧に挑むものとなっています。
     エストルの実践において、フィクションは社会変革のための強力なツールとして活用されてきました。そこから導かれる考え方のひとつは、現実はリハーサルできる、ということです。「パフォーマンスは、日常から抜け出す道を示してくれます」とエストルは言います。「フィクションが出口となり、希望を与え、変化を引き起こす可能性があるのです」。エル・アルトの鮮やかなネオ・アンデス建築を舞台に、靴磨き職人たちは自らの逸話を演じなおすことで、まったく新しい物語を創り上げました。そして今、あなたをその世界へと招待します。

  • 6A

    タンディウェ・ムリウ

    Camo

    誉田屋源兵衛 竹院の間

    開館時間: 10:00–18:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    6A

    THANDIWE MURIU

    Camo

    Presented by LONGCHAMP

    誉田屋源兵衛 竹院の間

    10:00–18:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥1,000

    学生 : ¥500
    (学生証の提示をお願いします。)

    タンディウェ・ムリウの〈Camo〉シリーズは、自身の「女性性」を再定義したい、そして不可視化された存在としての感覚を視覚的に表現したいという思いが出発点となっています。いわゆる「女性の仕事」の領域から抜け出し、広告写真家という職業に就いた自らの経験を基盤として創造された〈Camo〉を通じて、ムリウは女性に向けられた社会的なバイアスの問題に正面から取り組みます。テキスタイルや日常的な家庭用品を用いたその作品で、被写体となる女性たちはアイデンティティや表象、コミュニティといったテーマを映し出すキャンバスとなり、伝統と現代をめぐる対話を生み出します。
     〈Camo〉では、アフリカの「ワックス・プリント」と呼ばれる伝統的な「ろうけつ染め」のテキスタイルを社会的な言語として用いています。ワックス・プリントは、表現手法のひとつとしてアフリカ大陸全域で受け継がれてきました。人びとはそれを身にまとい、分かち合い、さまざまな感情を注ぎ込むことで、新たな意味を与え続けてきました。そして現在に至るまで、「アフリカらしさ」の象徴として広く認知され、アフリカの社会的・文化的な営みに深く根付いています。
     ムリウが捉える被写体の女性たちは、文様がプリントされた布地に溶け込みながら、それでもなお強い存在感を放ち続けます。ムリウの作品は、女性たちに「物言わぬ存在」であることを強いる社会からの圧力を反映し、歴史的に女性の身体が「対象化」されてきたことに対する抵抗でもあります。そこでは、「見せようとする力」と「消し去ろうとする力」の間に緊張関係が生まれているのです。
     「女性性」についての問いを投げかけながら、ムリウは歴史へ立ち返ります。過去を振り返ることで未来を拡張しようとするこのプロセスを、彼女は自ら「歴史の現代化」と名づけています。この過程を通して、ムリウは「女性性」という壮大なテーマに向き合いながら、希望とよろこびを届けているのです。
     〈Camo〉というシリーズ名は、「姿を隠すこと」を意味する「camouflage(カモフラージュ)」に由来しています。しかし本シリーズは、ともすれば見過ごされ、切り捨てられてしまいかねない存在に光を当て、その姿を可視化し、力を与える場へと昇華しているのです。

  • 6B

    タンディウェ・ムリウ

    一如

    出町桝形商店街 ― DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space

    開館時間: 11:00–18:00
    休館日: 4月20日・27日、5月7日・11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    6B

    THANDIWE MURIU

    一如

    KYOTOGRAPHIE African Residency Program

    出町桝形商店街 ― DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space

    11:00–18:00休館日4月20日・27日、5月7日・11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    入場無料

    京都での滞在制作で、タンディウェ・ムリウは日本の伝統的な染織工芸の世界に深く没入しました。そして、京都の布をめぐるこの旅から生まれたのが、〈Camo〉シリーズの新たな展開となる、〈More Than Half〉です。このシリーズで、ムリウは帰属意識やコミュニティにおける居場所について考察しています。
     ここでは、ムリウの関心は「カモフラージュ」から「共生」へとシフトし、日本文化を象徴する着物をまとった被写体の背景に「、アフリカらしさ」の象徴として広く知られるワックス・プリント(ろうけつ染め)を重ねています。このシリーズを通じてムリウは、2つの文化にまたがるアイデンティティを持つブレイジアン(アフリカンやアフリカン・アメリカンなどの「黒人」とアジア人のミックス)の女性たちが置かれた状況に光を当てようと試みているのです。
     日本では近年多文化共生がうたわれならも、外見だけで「日本人」かどうかを判断する思考や習慣が未だにあり、中には「日本人か、日本人以外か」を区分する人もいて、ブレイジアンたちが持つアイデンティティの二重性は時として苦難がともないます。血縁上の両親のひとりが日本人、もうひとりが外国籍の人への呼称である「ハーフ」という言葉には、かれらを「不完全」と前提づける意識が映し出されているかのようです。ムリウのポートレートが訴えかけるのは、たとえ異なる複数のルーツを持っていても、それらは切り離されることなく溶け合い、ひとつの存在を形づくっているという事実です。ムリウは、「すべてのものは根源においては一体である」という思想を指す仏教用語「一如」の精神を引用し、たとえわかれているように見えたとしても、すべてのものはその本質においてすでに完全である、という考えを示しています。
     ムリウは、肌の色のグラデーションをカラーパレットとして用いることで、さまざまなアイデンティティが重なり合い、分離し、そしてまた融合する様子を表現しています。そうした行為を通して、ムリウは「純粋さ」が担う固定概念に問いを投げかけます。〈一如(Ichinyo)〉は、帰属意識が類似性や共通性によって規定されるのではなく、個々の存在によって拡張していく世界を提唱しているのです。

  • 7

    ジュリエット・アニェル

    光の薫り

    有斐斎弘道館

    開館時間: 09:30–16:30
    休館日: 4月22日・30日、5月13日

    ※入場は閉館の30分前まで

    7

    JULIETTE AGNEL

    光の薫り

    Presented by Van Cleef & Arpels

    有斐斎弘道館

    09:30–16:30休館日4月22日・30日、5月13日

    ※入場は閉館の30分前まで

    入場無料

    ジュリエット・アニェルは、カメラを用いて見えないものを捉え、彼女自身が呼ぶところの「世界の振動」を可視化することを試みます。20代前半の頃にマリ共和国のドゴン族居住地域を訪れた経験が、宇宙的なスケールにおける人間性の位置付けについてのアニェルの理解へと大きく転換させる体験となり、その後の制作の基盤となりました。アニミズム的な思想の中に身を置き、人間の目には見えない力を帯びて生きるものとして自然を捉える世界観と出会ったのです。
     本展では、アニェルがヴァンクリーフ&アーペルとのコラボレーションによって制作した2つのカラー写真のシリーズ、〈ダホメの精霊〉と〈石の感受性〉に加えて、新たに制作された作品〈悠久〉を展示します。〈ダホメの精霊〉では、アニェルはベナンのザンスー財団の研究用庭園を夜間に散策し、煙と人工光を用いて古代から生き続ける植物に宿る目に見えない生命を召喚しました。〈石の感受性〉では、科学的な知識を地球の内部へと向け、ソルボンヌ大学の鉱物標本コレクションをあたかも人物のポートレートのように撮影しています。また今回新たに屋久島で撮影した映像作品〈悠久〉では、アニェルはスーパー8mmフィルムを使用し、神聖な屋久島の森の苔に覆われた静謐な世界をモノクロームで捉えています。
     これらの3つのシリーズは、共通した文法に則っています。いずれの作品も、鑑賞者には慣れ親しんだ感覚を手放すことが求められます──とても小さな存在が巨大に引き伸ばされ、動かないものに生命が吹き込まれます。「私の作品の根本にあるのは、目の前にあるリアルと目に見えないものとの関係性です。私たちを超越し、人間性そのものを問い直すことを促すような、絶対的存在です」とアニェルは語ります。
    「私は変わることなく同じ問いを探究し続けています。私たちを取り巻く、しかし目には見えない力を見極めるために。深いレベルで私たちをつなぎ合わせているのは何なのかをつかみ取るために。そして、私たち人間の小さな身体は多くの意味を孕んだ宇宙の断片なのだということを忘れないために」

  • 8

    森山大道

    A Retrospective

    京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

    開館時間: 10:00–18:00
    休館日: 4月20日・27日、5月11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    8

    DAIDO MORIYAMA

    A Retrospective

    Presented by Sigma
    Exhibition organised by KYOTOGRAPHIE and Instituto Moreira Salles In collaboration with Daido Moriyama Photo Foundation

    京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

    10:00–18:00休館日4月20日・27日、5月11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥1,500

    学生 : ¥800
    (学生証の提示をお願いします。)

    「この1枚1枚の写真のなかに、思想があるのか、世界があるのか、歴史があるのか、人間がいるのか、美があるのか、醜があるのか僕にはまったく分かりません。そして、どちらでもよいように思えるのです。ただ僕が、自分の息づかいそのままに、身のまわりのものを採録したまでのことです」
    ―森山大道(アサヒカメラ 1973年6月増刊号)

    60年以上のキャリアのなかで、森山大道は「写真とは何か」という根源的な問いに向き合い続けてきました。時代を代表するストリートフォトグラファーとして国際的に高く評価されながら、カメラを手に日本社会を問い直し、画像が氾濫し消費されていくあり方について思索を重ねています。
     1938年、大阪府池田市に生まれた森山は、GHQによる占領、急速な西洋化、産業化、そして経済成長と、変化を余儀なくされた激動の戦後日本で歳を重ねます。森山は写真を民主的なメディウムとし、日々の現実と、日本の伝統と西洋的影響のせめぎ合いをとらえました。ウィリアム・クラインやアンディ・ウォーホルといったアメリカのアーティストに触発されながら、森山もまた、活気に満ちた資本主義社会が内包する矛盾を写し出していきます。
     京都での開催にあわせて展示内容が新たに構築された本回顧展は、写真雑誌に掲載した作品にはじまり、次第に深まるフォトジャーナリズムへの不信、プロヴォーク世代との関わり、そして写真集『写真よさようなら』(1972年)に象徴されるラディカルなアプローチへと至るまで、森山の写真とその概念的探究の軌跡をたどります。この時期、森山は後に「アレ・ブレ・ボケ」(荒れた粒子、ブレた被写体、ボケたピント)として広く知られる独自の美学を確立しました。本展では、森山の写真表現をめぐる議論が立ち上がる土壌となった媒体である書籍や雑誌も、重要な位置を占めています。
     1980年代初頭、森山は制作およびプライベートにおける危機を徐々に乗り越え、作品が叙情的な響きを帯びたものへと展開します。そして自らのアイデンティティや、写真、記憶、歴史とは何かという問いへと向き合います。同時にストリートフォトグラフィーへの関心をあらためて深め、日本各地だけでなく、ニューヨーク、パリ、サンパウロなど、世界の都市を歩きながら撮影を重ねていきました。粗くざらついたモノクロームの写真で広く知られる一方で、カラー写真やデジタル写真も取り入れながら、現代の消費社会をとらえていきます。本展の結びには、森山が現在に至るまで刊行を続け、都市へのラブレターともいえる自費出版の雑誌『記録』も展示されます。 
     森山大道は、私たちが見る「写真」だけでなく、世界そのものの見方を変えました。芸術の特権主義を拒み、複製可能で誰にでも開かれている写真の性質にこそ、私たちの社会における平等な意義を見出したのです。

    文:チアゴ・ノゲイラ

    本展は、森山大道写真財団のサポートのもと、神林豊、町口覚、木村一也による協力、ダニエレ・ケイロス(IMS /モレイラ・サレス研究所)によるキュレトリアル補佐により実現しました。これまで、モレイラ・サレス研究所(サンパウロ)、C/Oベルリン、フィンランド写真美術館(ヘルシンキ)、ザ・フォトグラファーズ・ギャラリー(ロンドン)、フォト・エリゼ(ローザンヌ)、フォトグラフィア・ヨーロッパ・フェスティバル(レッジョ・エミリア)、フォト・アルセナル(ウィーン)にて開催されました。本展に併せて、IMS、プレステル、森山大道写真財団よりポルトガル語・英語・日本語のモノグラフ・カタログ(完全版)が刊行されます。

  • 9

    アーネスト・コール

    House of Bondage|囚われの地

    京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

    開館時間: 10:00–18:00
    休館日: 4月20日・27日、5月11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    9

    ERNEST COLE

    House of Bondage|囚われの地

    Supported by Cheerio
    In collaboration with Magnum Photos

    京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

    10:00–18:00休館日4月20日・27日、5月11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥1,000

    学生 : ¥500
    (学生証の提示をお願いします。)

    アーネスト・コールによる写真集『House of Bondage(囚われの地)』(1967年)は、南アフリカの人種隔離政策アパルトヘイト体制下で、人びとがどのように日々を生きていたのかを、写真を通して見つめています。コールは長年に渡り秘密裏に取材を重ね、鉱山、病院、裁判所、警察署、刑務所、隔離居住区といった場所を撮影しました。むき出しの冷厳さを併せ持つモノクロームの写真群は、強制労働や監視の現実、人を貶める仕組みが、いかに日常のなかに組み込まれていたのかを静かに語ります。親密なポートレートと、事実を克明に記録した写真の連なりが、個々人の体験と、それを抑圧する制度的構造を浮かび上がらせるのです。静かな共感とごまかしのない明晰さでもって撮影された本作は、労働、移動、住居、法的強制といった支配のルーティンを描き出し、鑑賞者にいかに日常の場が人種的支配のために組み立てられていたかという現実を突き付けます。
     ひとつの連続した物語として構想された本作において、写真はもちろん、亡命先で書かれ1967年に写真とともに初めて発表されたコール自身のテキストもまた、欠かせない存在です。コールの文章には、分析的でありながらも怒りを宿した、切実な彼自身の声がはっきりと響いています。そして写真の背景を提示し、政治的な意義をより際立たせることで、これが単なる「中立的」な記録ではなく、抵抗の行為なのだとあらわにするのです。
    本展では、アーネスト・コールの写真とテキストを併せて紹介し、『House of Bondage』の全体像にあらためて立ち返ります。写真と言葉が一体となった証言でもあり、告発でもある同作品は、アパルトヘイトに対する個人的かつ集団的な糾弾であり、フォトジャーナリズム史における重要な到達点ともいえるでしょう。
     現在の社会情勢においてアーネスト・コールの『House of Bondage』を展示することには、大きな意義があります。アパルトヘイト体制下での生を証言する極めて力強い写真のひとつとして、コールの勇気ある作品がもつ現在性をあらためて浮かび上がらせるだけでなく、南アフリカの歴史と、現代における自由と尊厳を求める闘いとを結ぶ、貴重な対話の場をひらくことでしょう。それは追悼であり、共鳴であり、大陸を越えて歴史をつなぎ留めると同時に、写真が持つ変革の力をあらためて私たちに思い起こさせるのです。

    文:アンドレア・ホルツヘル

  • 10

    ピーター・ヒューゴ

    光が降りそそぐところ

    京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

    開館時間: 10:00–18:00
    休館日: 4月20日・27日、5月11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    10

    PIETER HUGO

    光が降りそそぐところ

    京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

    10:00–18:00休館日4月20日・27日、5月11日

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥1,000

    学生 : ¥500
    (学生証の提示をお願いします。)

    過去23年にわたって撮影された100点を超える写真で構成される〈光が降りそそぐところ〉は、生と死、そしてそのはざまで迎える数々の節目に目を向けながら、人生のありようを見つめてきたピーター・ヒューゴの思索の集積です。タイトルは、写真家ヘルマー・レルスキの「すべての人間には、すべてが宿っている。問題は何に光が降りそそぐかなのだ」という言葉に由来します。この言葉に応えるかのように、ヒューゴは本作で、人間の存在の鮮やかな痕跡を積み重ねます。初期のプロジェクトが明確な主題に沿って構成されたフォトエッセイ形式だったのに対し、本シリ ーズで彼が向き合おうとしているのは、「生きるとはどういうことか」という、根源的な問いです。
     本作の始まりと終わりを結ぶのは、2枚の写真です。1枚はヒューゴの第一子の誕生を写したもの、もう1枚は死の床にあるヒューゴの父を写したものです。この世界への誕生と旅立ちを写す2枚は、観る者を儚い生への意識へと誘い、作品を支える感情の拠り所となっています。その2枚のあいだには、生をかたちづくるあらゆる瞬間が捉えられ、大きな意識の流れとなって観る者を包み込みます。
     それはまるで、「中年期」とは過去と未来の両方をたじろぐことなく同時に見つめることができるときだと提示しているかのようです。ヒューゴはこの視座を手がかりに被写体との距離を自在に操りながら、本プロジェクトを編み進めて行きます。そのアプローチは自由でやわらかく、そしてそのやわらかさ、すなわち時間とともに育まれた澄んだまなざしこそが、本作を際立たせています。安直に結論を求めるのではなく、じっとそこに存在し、あわいにとどまろうとする姿勢が育んだヒューゴの真摯で静謐な精神性が、ありありと描き出されているのです。

  • 11

    福島あつし

    灼熱の太陽の下で

    ygion

    開館時間: 11:00–19:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    11

    ATSUSHI FUKUSHIMA

    灼熱の太陽の下で

    Supported by Fujifilm

    ygion

    11:00–19:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥800

    学生 : ¥400
    (学生証の提示をお願いします。)

     2018年、それまで勤めていたひとり暮らしの高齢者を対象とした弁当配達の仕事を離職していた福島は、友人に誘われ農業の世界に足を踏み入れることとなりました。「もっと穏やかなものだと思っていた」はずの農家として年間10種類近くの野菜を栽培し収穫する日常は想像を絶する激しさで、とりわけあらゆる有機体がその生命力を輝かせる夏は、雑草、虫、害獣、太陽の光と熱、台風など、自然との闘いの連続です。
     朝5時に始まり、14時頃に終了するまで、1分1秒を争いながら農作業を続けます。収穫せずに放置していると、気温の上昇によってあっという間に腐敗する野菜。永遠のように続く草むしり、猛威を振るう異常気象──大いなる自然に翻弄されたとき、これまでの社会生活では経験したことがないような、妙に開き直った気持ちよさを感じる瞬間が福島には幾度となくありました。
    「膨大な作業量に屈して自分が弱い立場となったことで、初めてほかの生き物と同じ目線で時間を過ごしていると感じました。当初は自然との闘いの果てにある気持ちよさを写真で表現したいと思っていたんですが、解像度が上がっていくうちに、その気持ちよさは、“自分も自然の一部なのだ”という実感からきていると気がついたんです。それはこの歳になって初めて得ることのできた感覚でした。土と汗にまみれ、ほかの生き物たちと作物を奪い合っているこの世界は、実は桃源郷のような美しい世界なのではないだろうか、そう思うようになったんです。そして写真ならその美しさをカメラで抽出して具現化できるのではないか、という期待を抱きました」
     そう語る福島は6×7の中判フィルムカメラで、夏の畑にレンズを向けました。みずみずしく輝く収穫物、一緒に作業に勤しむ同僚、腐る寸前の野菜、そこに湧くウジ虫……。自身をも含むあらゆるものを俯瞰した視座で撮影するなかで、福島は畑における生と死という二項対立ではなく、生と死を内包するエネルギーそのものを浮かび上がらせます。福島が切り取る、灼熱の太陽の下で繰り広げられる激しい闘いと、何もかもを剥き出しにさせるような圧倒的なエネルギーは、私たちが日々食する野菜を育む夏の畑というひとつの小さな宇宙に存在する森羅万象を写し出します。

  • 12

    柴田早理

    Dotok Days

    ASPHODEL

    開館時間: 11:00–19:00
    休館日: 4月21日・28日、5月12日

    ※入場は閉館の30分前まで

    12

    SARI SHIBATA

    Dotok Days

    Ruinart Japan Award 2025 Winner
    Presented by Ruinart

    ASPHODEL

    11:00–19:00休館日4月21日・28日、5月12日

    ※入場は閉館の30分前まで

    入場無料

    柴田は富山県南砺市の山あいで生まれ、祖父母や曾祖母、地域の人々に見守られながら育ちました。展示タイトルの「Dotok」は、民藝運動の祖、柳宗悦が用いた南砺の精神風土を指す言葉「土徳(どとく)」に由来します。助け合わなければ生きていけないことを知っていること。自分の小さなはからいを超えた大いなる力に身を委ねること。名もない人々の営みや祈りが土地に積み重なり、暮らしの足元を支えていること─土徳とはそのような感覚をさします。
     進学を機に都市へ出た柴田は、甥の誕生や親族の老いをきっかけに、十二年を経て再び地元へ戻ります。人口が減り町の姿が変わる一方で、田んぼを耕し、祭りで踊り、支え合い、祈りながら暮らす時間は続いていました。子どものころには見えなかったものが見えてくるとき、子の視線はやがて祖母の視線へ近づいていきます。「誕生と喪失は切り離された点ではなく、自分の内側でひとつの円をなしている。そしてその円は、この土地に積み重なってきた、もっと大きな円の一部でもあると気がつきました」と柴田はいいます。
     本シリーズは、KYOTOGRAPHIE 2025でルイナール・ジャパン・アワードを受賞した柴田が、フランス・ランスの世界最古のシャンパーニュ・メゾンであるルイナールでのアーティストレジデンス滞在中に制作されたものである。写真に登場する女性は、すべて柴田のセルフポートレートです。自らの身体を器として、南砺の女性たちの一生をランスで引き受けました。作品にときおり現れる白い紙は、南砺の植物から漉いた五箇山和紙です。柴田はランスの森を歩きながら「なにか」の気配を感じ取ると、そこで和紙を切り取り、置き、撮影しました。
     葡萄畑の剪定と収穫、発酵と熟成─自然と向き合い、時間に委ねる営みは、南砺で育まれた身体感覚と響き合います。南砺にもランスにも降り注ぐ同じ光が、二つの土地をかさね、この世界に生きる誰のもとにもめぐる日々の意義を静かに照らし出しています。

  • 13

    イヴ・マルシャン& ロマ・メェッフェル

    残されるもののかたち

    重信会館

    開館時間: 10:00–18:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    13

    YVES MARCHAND & ROMAIN MEFFRE

    残されるもののかたち

    重信会館

    10:00–18:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥1,000

    学生 : ¥500
    (学生証の提示をお願いします。)

    フランス人写真家ユニットのイヴ・マルシャン&ロマ・メェッフェルは、本展「残されるもののかたち」にて、真宗教学を研鑽する学舎および学生寮であった重信会館を舞台に、現代の廃墟をめぐる旅へと来場者を誘います。空っぽの部屋からは、かつての宿舎としての役割を失った建物の余韻が漂います。この空間には、マルシャン&メェッフェルのふたりが、20年以上にわたり活動してきたテーマそのものがあります。
     彼らの活動のきっかけは、2002年、パリ南部のとある廃墟で行った、ふたりにとって初の無許可探検でした。すぐに廃墟の壮大さに驚愕したふたりは、その遺産としての記録の必要性を感じはじめます。そして、時代とともに衰退した建築物群に研究の方向性を定め、廃墟が私たちの社会の姿を浮き彫りにしていることに注目しました。
     かつてモーターシティと呼ばれたデトロイトの街は、2005年に大きな産業の転換期を迎えました。「アメリカのポンペイ」と揶揄される、甚大な産業衰退の実態を目の当たりにしたふたりは、2008年から2012年に日本の軍艦島を、2005から2021年には音楽ホールや劇場に関する取材・制作を長年にわたり続けていきます。彼らの作品は、ベッヒャー夫妻の連作に見られる厳密さ、都市を探査するような視点、そして絵画的アカデミズムへのまなざしに影響を受けており、写真集『The Ruins of Detroit 』( 2010 シュタイデル刊)は高く評価され、現代の廃墟写真における金字塔のひとつとして知られています。
     写真は長らく指標としての役割を担ってきました。画像に写るものが、レンズの前に存在していた現実であることは自明の理だったからです。しかし、生成 A Iの台頭とその模倣能力は、すでに揺らぎつつあったこの原則を、さらに大きく覆しました。この目まぐるしい変化から生まれた作品が、〈Les Ruines de Paris(パリの廃墟)〉シリーズです。生成A lを用いて、パリという都市そのものを「終末後」の廃墟へと変容させる実験的なこの作品は、やがて来る未来の衰退を先取りし、我々はそこからいかに逃れられるのかという想像の世界へと私たちを誘います。マルシャン& メェッフェルは、写真と生成 A lとを組み合わせることでパリや京都を「廃墟化」し、廃墟の象徴性を広げることで、なぜ私たちが廃墟に魅力を感じるのかを問いかけています。

  • 14

    レボハン・ハンイェ

    記憶のリハーサル

    東本願寺 大玄関

    開館時間: 10:00–17:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    14

    LEBOHANG KGANYE

    記憶のリハーサル

    Presented by DIOR

    東本願寺 大玄関

    10:00–17:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    大人 : ¥1,000

    学生 : ¥500
    (学生証の提示をお願いします。)

    記憶は行為の反復であり、時を超えて再訪する影である。記憶は、光となり、紙となり、木となり、姿を変えながら繰り返し立ち現れる。レボハン・ハンイェの「記憶のリハーサル」展は、4つの主要なシリーズによって構成されている。ハンイェはこれらの作品を通して、家族、国家、そしてアイデンティティの形成における不在、継承、想像力の役割について探究している。写真、シルエットのカットアウト、ライトボックスを用いたジオラマ、布のパッチワーク、彫刻的空間介入によって展開するハンイェの作品は、個人的なアーカイブを生きた没入的空間へと変容させる。そこでは過去と現在が共存している。
     来場者は、南アフリカ共和国の歴史、家族の歴史、そしてポストコロニアルの現実が重層的に絡み合ったナラティブ(物語)の中へと引き込まれる。ハンイェは自らのアーカイブの中に自分自身を繰り返し登場させ、先祖たちのシルエットに同化し、母親の服を身にまとい、その分身を演じる。こうした行為を通じて、ハンイェは語り手とその物語との間の距離を取り払い、記憶そのものをはかない行為の実践へと昇華させる。
     京都の最も重要な仏教寺院のひとつである東本願寺の木造建築の中で展示されるハンイェの作品は、数世紀にわたって受け継がれてきた職人の技巧と、木と紙を透過した光が生み出す詩との対話である。影、シルエット、そして物質的存在が日本的な美意識と響き合う。その繊細な階調は、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を思い起こさせる。ここでは、記憶が建築となり、歴史がリハーサルのように紐解かれていく──繰り返され、想像をかき立て、そして新たな経験を創出しながら。ハンイェが来場者に委ねるのは、ただ眺めることだけではない。記憶の中に入り込み、そのリズム、断絶、共鳴を感じること、そして現代の中に生き続けている過去を認識することなのだ。

    文:マリナ・パウレンカ

  • i

    インフォメーション町家

    八竹庵(旧川崎家住宅)

    開館時間: 10:00–19:00
    休館日: 無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    i

    Information Machiya

    八竹庵(旧川崎家住宅)

    10:00–19:00休館日無休

    ※入場は閉館の30分前まで

    入場無料

    八竹庵(旧川崎家住宅)では、メインプログラムの2つの展覧会を開催しています:[1]ファトマ・ハッスーナ「The eye of Gaza」、[2]「Photo Book! Photo-Book! Photobook!」(A4 Laboratoryとの協働、ショーン・オトゥールによるキュレーション)。

    インフォメーション町家は、チケット・書籍・グッズの購入、茶室での体験、展示案内、観光情報のご案内、自転車レンタル(パスポートチケット所持者限定)などを提供する、フェスティバルの総合案内所です。

    初めてKYOTOGRAPHIEに来場される方は、まずこちらにお立ち寄りください。

    コンシェルジェ

    インフォメーション町家では、コンシェルジェがチケットの選び方から、展覧会案内、ルート案内などをサポート。ランチやカフェ、周辺の観光案内も気軽にお尋ねください。

    GOODS & BOOK SHOP

    フェスティバル最大規模のショップがあり、オリジナルグッズや書籍を多数取り揃えています。

    KYOTOGRAPHIE ヒストリカルラウンジ

    2013年から2025年までのカタログや動画を自由にご覧いただけるスペース。一部ブックショップの本もご覧いただけます。お庭をみながらゆっくりとおくつろぎください。

    自転車レンタル

    パスポートチケットをお持ちの方に無料で自転車の貸し出しを行っています(予約不可、18時までに要返却)。

    茶会「EDGE」(茶室)

    4/19(日)、26(日)、4(月)、6(水)、9(土)、16(土)の午後に、有料のお茶席を設けています。予約優先。

    八竹庵の歴史について

    大正当時の流行である「フランクロイドライト様式」を洋間に採用した、伝統的な京都の「大塀造」の築100年を誇る京町家。洋館部分を関西近代建築の父・武田吾一、茶室や和室部分を数寄屋建築の名工・上坂浅次郎が設計。本家係の大工主任と助手に黒竹廣吉・梅吉が参与。敷地248坪に茶室・サロン・洋館・玄関棟・庭・2階建ての主屋・便所・浴室・2棟の蔵からなる京町家です。

  • i

    JR京都駅インフォメーションキオスク

    京都駅 中央口

    開館時間: 10:00–17:00
    休館日: 4月20日・22日・23日・24日・27日・28日、5月7日・8日・11日・12日・13日・14日・15日

    ※入場は閉館の30分前まで

    i

    JR Kyoto Station Information Kiosk

    京都駅 中央口

    10:00–17:00休館日4月20日・22日・23日・24日・27日・28日、5月7日・8日・11日・12日・13日・14日・15日

    ※入場は閉館の30分前まで

    土日祝日は、JR京都駅中央改札を出て、京都タワー側(北側)の駅前広場にJR京都駅インフォメーションキオスクを開設しています。チケットのご案内や、ルートの説明など気軽にご相談ください。

  • K

    子ども向け展覧会

    「KODOMOGRAPHIE」 & 「KYOTOGRAPHIE 子ども写真コンクール展 2026」

    NTT西日本三条コラボレーションプラザ

    開館時間: 11:00–17:30
    休館日: 4月20日・21日・27日・28日、5月11日・12日

    ※入場は閉館の30分前まで

    K

    Exhibitions for Kids

    「KODOMOGRAPHIE」 & 「KYOTOGRAPHIE 子ども写真コンクール展 2026」

    NTT西日本三条コラボレーションプラザ

    11:00–17:30休館日4月20日・21日・27日・28日、5月11日・12日

    ※入場は閉館の30分前まで

    入場無料

    会期中、NTT西日本三条コラボレーションプラザは、子どもたちのための写真スペースへと生まれ変わります。2つの特別展示に加え、クラフトコーナーやワークショップを開催します。

    『KODOMOGRAPHIE』

    2026年にスタートするKODOMOGRAPHIEは、メインプログラムを子ども向けに再構成したコンパクトな展覧会です。タンディウェ・ムリウ、フェデリコ・エストル、福島あつし、アーネスト・コールらの作品を展示し、子どもにもわかりやすい解説とともに、作品のテーマをより深く学べる機会を提供します。

    『KYOTOGRAPHIE子ども写真コンクール&展示 2026:
    EDGEの向こうには何があるだろう?』

    Supported by Petit Bateau
    2026年のKYOTOGRAPHIE 子ども写真コンクールには、関西と関東の学校に通う小学1年生から中学3年生までの子どもたちが参加できたよ。たくさんの若い写真家たちが、自分にとっての「エッジ」を才能あふれる写真で表現してくれたんだ。14の学校から700枚以上、さらにプチバトーの子ども写真コンクールからも124枚の写真が集まって、そのなかから、審査で選ばれた約46枚の写真がここに展示されているよ。

    『タンディウェ・ムリウ フォトスタジオ』

    タンディウェ・ムリウの写真にインスピレーションを得た子ども向けフォトブース。5月2日〜6日まで、自分のポートレートを撮影しよう!