PIETER HUGO ピーター・ヒューゴ
SOUTH AFRICA IN FOCUS
光が降りそそぐところ
セノグラファー:team raw row inc.
23 年にわたり積み重ねられてきた膨大な数の撮影を通じ、 生と死、そしてそのはざまで迎える数々の節目への根源的な問いについて深く思索する
過去23年にわたって撮影された100点を超える写真で構成される〈光が降りそそぐところ〉は、生と死、そしてそのはざまで迎える数々の節目に目を向けながら、人生のありようを見つめてきたピーター・ヒューゴの思索の集積です。タイトルは、写真家ヘルマー・レルスキの「すべての人間には、すべてが宿っている。問題は何に光が降りそそぐかなのだ」という言葉に由来します。この言葉に応えるかのように、ヒューゴは本作で、人間の存在の鮮やかな痕跡を積み重ねます。初期のプロジェクトが明確な主題に沿って構成されたフォトエッセイ形式だったのに対し、本シリ ーズで彼が向き合おうとしているのは、「生きるとはどういうことか」という、根源的な問いです。
本作の始まりと終わりを結ぶのは、2枚の写真です。1枚はヒューゴの第一子の誕生を写したもの、もう1枚は死の床にあるヒューゴの父を写したものです。この世界への誕生と旅立ちを写す2枚は、観る者を儚い生への意識へと誘い、作品を支える感情の拠り所となっています。その2枚のあいだには、生をかたちづくるあらゆる瞬間が捉えられ、大きな意識の流れとなって観る者を包み込みます。
それはまるで、「中年期」とは過去と未来の両方をたじろぐことなく同時に見つめることができるときだと提示しているかのようです。ヒューゴはこの視座を手がかりに被写体との距離を自在に操りながら、本プロジェクトを編み進めて行きます。そのアプローチは自由でやわらかく、そしてそのやわらかさ、すなわち時間とともに育まれた澄んだまなざしこそが、本作を際立たせています。安直に結論を求めるのではなく、じっとそこに存在し、あわいにとどまろうとする姿勢が育んだヒューゴの真摯で静謐な精神性が、ありありと描き出されているのです。
©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2026
Sophie on the winter solstice, Nature's Valley, 2020 © Pieter Hugo
Afternoon nap interrupted, Nature's Valley, 2012 © Pieter Hugo
Frog Mountain, Swellendam, 2018 © Pieter Hugo
Truck driver, Kano, 2023 © Pieter Hugo
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artist アーティスト
Pieter Hugo ピーター・ヒューゴ
1976年、南アフリカ ヨハネスブルグ生まれ。ケープタウンを拠点に活動する写真家。ムゼウ・コレソン・ベラルド、ハーグ写真美術館、エリゼ写真美術館(スイス ローザンヌ)、ストックホルム写真美術館、イタリア国立21世紀美術館(MAXXI) など、多くの機関で大規模な個展を開催している。2008年には、アルル国際写真祭のディスカバリー賞とKLMポール・ハフ賞の両方を受賞。2012年にはドイツ銀行写真賞のショートリストに選出され、2015年にはプリ・ピクテの最終候補に選出される。