ATSUSHI FUKUSHIMA 福島あつし
Supported by Fujifilm
農業における夏の収穫は、激しい労働と転換の季節である。 福島あっしが活写する、秩序と無秩序が同居する農の現場に噴き上がる、 生と死のエネルギー
福島あつしは、いわゆる「写真家らしい」写真家ではありません。2004年に大学を卒業して以来、彼は弁当の配達員として働き、日本列島を縦断する旅に出ながら、農業に携わり、その度ごとに道中で出会った人びとや風景を撮り続けてきました。
KYOTOGRAPHIE 2026 で福島は、農場で働く7 年間のあいだに制作した作品を発表します。「友人から誘われて農家の端くれとなった僕は、当然のように農業=穏やかな日常というものを期待していた。しかし、実際に僕が関わった農業はそれとは別世界だった。労働単価をいかに上げるかを追求し、そこに資金・アイデア・情熱など自分たちが持つ全てを注ぎ込み、事業を進めていく。そこに面白み、やりがいを感じながら生きていく。野菜を愛でる時間なんてありはしなかった」と福島は語ります。
今回の展示は、このプロジェクトにとって初めての大規模な発表となり、同時に福島がKYOTOGRAPHIEのメインプログラムヘ戻ってくる節目でもあります。彼は2020 年、KG+SELECT Award 2019 を受賞した〈ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ〉を出展しました。続く本展では、彼が記録してきた収穫の現場へと観客をいっそう深く誘い込み、会場内のキッチンスペースを使ったイベントを通じて、さらなる体験の場をひらくこととなるでしょう。
© Atsushi Fukushima
© Atsushi Fukushima
© Atsushi Fukushima
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