FEDERICO ESTOL フェデリコ・エストル
Shine Heroes
KG+SELECT Award 2025 Winner
ボリビアの靴磨きたちとともに、周縁に追いやられたコミュニティを ヒーローとして捉え直し、そのアイデンテイティと結束を映し出す
毎日、ボリビアのラパスでは3,000人を超える靴磨きの人びとが街に出ています。こうした匿名の働き手たちは、ボリビアにおける「非正規の経済活動」の一部を担っていますが、そのことで差別のまなざしにさらされやすい脆弱な立場に置かれ、基本的な労働の権利からもこぼれ落ちてしまいます。身元を隠すために変装をしているのは、近所の人びとは誰も彼ら、彼女らが靴磨きで生計を立てていることを知らず、家族でさえも別の仕事をしていると思っているためです。
靴磨きをする人びとは社会の周縁に追いやられています―しかし、エストルの写真のなかでは違います。エストルは、靴磨きの人びとを「ヒーロー」として捉え直しています。エストルは60 人の靴磨きと、彼らを支援する地元の団体「Hormigón Armado」とともに作品制作を進めてきました。この団体は、靴磨きの人びとの収入につながる月刊新聞を発行しています。2019 年、エストルは写真特集号を制作し、その後、写真の世界におけるこのプロジェクトの成功をもとに、CD 、おもちゃ、カレンダー、ポストカードといったさまざまなアイテムを制作してきました。
エストルは本作でKG+SELECT 2025 Award を受賞し、KYOTOGRAPHIE 2026 ではあらたな個展として開催します。会場には、ラパスで靴磨きの人びとが実際に使用してきた道具も展示予定です。彼ら、彼女らが身につけてきた仮面を、匿名性の象徴としてではなく、むしろ、「アイデンテイティと団結」を象るものとして―。
Shine Heroes, 2018 © Federico Estol
Shine Heroes, 2018 © Federico Estol
Shine Heroes, 2018 © Federico Estel
artist アーティスト
Federico Estol フェデリコ・エストル
ウルグアイ出身のアーティスト兼アクティビスト。文化的アイデンティティ、不平等、社会正義の関係性を探求する物語を制作している。ウルグアイの国際写真祭「SAN JOSÉ FOTO(サンノゼフォト)」のアーティスティック・ディレクターおよびアルゼンチンのラ・プラタ国立大学(UNLP)芸術学部で写真の教授を務めている。写真集に特化した出版社El Ministerio Edicionesで写真集の編集者としても活動している。エストルの作品はイーストウィング・ギャラリー(ドーハ/ベルリン)にて取り扱われ、2025年よりアメリカのメディア「CatchLight Global」のフェローを務めている。
Venue 会場
誉田屋源兵衛 黒蔵
- 住所
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京都市中京区室町通三条下ル 西側
- アクセス
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地下鉄烏丸線または東西線「烏丸御池」駅 6番出口から徒歩4分