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Pushpamala N プシュパマラ・N

Dressing Up: Pushpamala N
Mother India, Avega ~ The Passion and The Arrival of Vasco da Gama

Presented by CHANEL Nexus Hall

セノグラファー:石田 建太朗(KIAS)

プシュパマラ・N(1956年生)は、インドのバンガロール(現ベンガルール)を拠点に多様な分野で活動するアーティストです。彫刻家として活動を開始し、1990年代半ばから、さまざまな役柄に扮して示唆に富んだ物語を作り上げるフォト・パフォーマンスやステージド・フォトの創作を始めました。その作品は、女性像の構築や国民国家の枠組みといったテーマに取り組んでいます。プシュパマラは「現代インド美術界で最もエンターテイニングなイコノクラスト」と評され、自らをフレームに登場させ、社会問題の中心に位置づけています。そして、創造者であると同時に歴史の産物としてのアーティストの役割を探求しています。

KYOTOGRAPHIE 2025でプシュパマラは、近年テート・モダンで展示された〈The Arrival of Vasco da Gama〉をはじめとする作品を展示します。ヴェローゾ・サルガドが1898年に描いた絵画をもとに、プシュパマラはポルトガルの探検家ヴァスコ・ダ・ガマと、インド南西部の沿岸にあるカリカットの王の両者を体現することでオリエンタリズム作品を再解釈しています。また、変容する国家の中で、歴史的表現や文化的理想を探求し続けているシリーズ〈Mother India〉も紹介します。フォト・パフォーマンス、ビデオ、彫刻、執筆などに広がるプシュパマラの多角的な活動は、インドのアートコミュニティとも関わりを深めています。制作は基本的に共同作業で行われ、作家が共鳴する「既成」のイメージを特定し、自身のスタジオで再現しています。友人や素人のキャスト、技術者たちを指揮し、細部まで計算されたシーンを作り上げます。これらの制作過程で使用された小道具や背景は、写真と一緒に展示されることもあり、本展では、〈The Arrival of Vasco da Gama〉でこの展示を行います。

ハイテクなデジタル加工とは対照的に、プシュパマラのアナログで演劇的に構成された演出(ミザンセーヌ)は、その作為的なものをあえて強調させます。これにより、作品の根底にある概念的な枠組みに意識を向けさせます。彼女の実践は、視覚的言語を通して文化的・国家的記憶がどのように形成されるか鋭く考察しているのです。

©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2025

©︎ Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2025

Bharat Bhiksha (after Calcutta Art Studio print circa 1878–80) , 2018  © Pushpamala N

Bharat Bhiksha (after Calcutta Art Studio print circa 1878–80) , 2018 © Pushpamala N

Bharat Mata © Pushpamala N

Bharat Mata © Pushpamala N

The Arrival of Vasco Da Gama (After an 1898 painting by José Veloso Salgado), 2014  © Pushpamala N

The Arrival of Vasco Da Gama (After an 1898 painting by José Veloso Salgado), 2014 © Pushpamala N

artist アーティスト

Pushpamala N プシュパマラ・N

1956年生まれ。インドのバンガロール(現ベンガルール)を拠点に多様な分野で活動するアーティ スト。彫刻家として活動を開始し、1990年代半ばから、様々な役柄に扮して示唆に富んだ物語を作り上げるフォト・パフォーマンスやステージド・フォトの創作を始める。その作品は、女性像の構築や国民国家の枠組みといったテーマに取り組んでいる。プシュパマラは「現代インド美術界で最もエンターテイニングなイコノクラスト」と評され、自らをフレームに登場させ、社会問題の中心に位置づけている。そして、創造者であると同時に歴史の産物としてのアーティストの役割を探求している。作品は、MoMA(ニューヨーク、2024)、テート・モダン(ロンドン、2024)、MUCEM(マルセイユ、2024)、Jimei × アルル国際写真祭(厦門、2019)、第66回ベルリン国際映画祭(2016)、ヴォルフスブルク美術館(2022)、Museum of Art and Photography(バンガロ ール、2022)、バンクーバー美術館(2019)、フォトフェスト(ヒューストン、2018)、チョビ・メラ(ダッカ、 2017)、釜山ビエンナーレ(2016)、コチ=ムジリス·ビエンナーレ(2014)などで展示。チェンナイ· フォト·ビエンナーレ2019のアーティスティック·ディレクターを務めた。

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