About 私たちについて

KYOTOGRAPHIEは、歴史・芸術・文化が深く息づく都市として世界的に知られる京都を拠点とする国際写真祭です。毎年春、町家からギャラリー、博物館、寺院に至るまで、京都の文化空間のあちこちに会場がひらかれ、街そのものが写真を祝祭する没入的な体験の場と変貌します。

KYOTOGRAPHIEが来場者にお届けする体験は、多層的で独自性に満ちており、京都という都市だからこそ生まれ得たものです。従来の展示空間に縛られることなく、斬新な会場構成で知られています。国内外の建築家や職人との協働によって生み出される空間は、従来のフォーマットを刷新し、芸術と空間の関係性を新たに切り拓いていきます。
毎回の中心となるのがメインプログラムの展示です。共同創設者/共同ディレクターのルシール・レイボーズと仲西祐介は、毎年ひとつの大きなテーマを掲げ、そのテーマを軸にキュレーションを進めています。参加アーティスト、キュレーター、会場、スポンサーとの緊密な協働を通して、テーマを多層的に照らし出すプログラムを作り上げています。

KYOTOGRAPHIEは展示だけにとどまりません。アーティストと直接出会えるトークイベント、次世代の才能を支えるポートフォリオレビュー、参加アーティストが直接指導するマスタークラス、子ども向けの教育プログラムなど、多様なアクティビティをお楽しみいただけます。こうした取り組みを通じて、来場者は写真表現の深さと広がりを多角的に体験することができます。

KYOTOGRAPHIEの核にあるのは、「人」「場所」「思想」が交差する場です。地域と世界、伝統と現代、新進と成熟——さまざまな文化と視点が出会う空間であり、何よりも“違い”が祝福される場です。今年、第14回を迎えるKYOTOGRAPHIEは、つねに創造し、再構築し、縁をつむぎ、変わり続けることを使命として、歩みを進めます。

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捉えどころがなく、常に変化を続ける「EDGE(エッジ)」は、物理的、社会的、心理的な様々な形をとって立ち現れる。断崖に身を置いたときの緊張感、衝突が起きる瀬戸際、周縁で生きることの不安定さ、新しい先端を行く決意——そんな感覚を呼び起こすかもしれない。

写真もまた、「際(きわ)」をその内側に抱えている。写真というメディウムは誕生以来常に周縁に位置し、記録と芸術のあわい、真実と虚構のあいだを揺れ動いてきた。いま、新たなテクノロジーの到来と画像が氾濫する時代のはざまで、写真は臨界点に立たされている——先が見えない不安と、何かを発見する高揚感。その両者が共存する場所に。
「エッジ」の向こう側に何があるのかは、誰にもわからない。
混沌とともに崩壊へと向かうのだろうか。
それともその「エッジ」は、別の世界へと誘う入口なのだろうか。

KYOTOGRAPHIE2026は、この「あわい」を、緊張と変化が同時に生まれる場所として描き出す。ラディカルな写真表現の試みの隣で、都市の衰退を見つめる作品があり、周縁に追いやられたコミュニティの記録は、植民地主義や領土争いといった現在進行形の問題と交錯する。また、自然のもつ超越的な力にもレンズを向け、「ギリギリの際」に到達することで、視点・思考・創造の新たな地平がそっと開いていくのが見えてくる──たとえ環境的にも、政治的にも、個人的にも、もっとも暗い現実のさなかにあったとしても。「エッジ」は、不確実性に満ちた場所であり、同時に可能性の生まれる場所でもある。

そしてひとつの終わりが、次の始まりへと導かれる。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
共同創設者/共同ディレクター
ルシール・レイボーズ&仲西祐介

Outline 開催概要

KYOTOGRAPHIE
International Photography Festival 2026

名称
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026
 (英語表記: KYOTOGRAPHIE International Photography Festival 2026)
会期
2026年4月18日(土)-5月17日(日)

Lucille Reyboz & Yusuke Nakanishi

KYOTOGRAPHIE Co-Founders and Directors

ルシール・レイボーズ

写真家。KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭、KYOTOPHONIE Borderless Music Festival 共同設立者・共同ディレクター。1973年生まれ。幼少期を過ごした西アフリカで写真を始める。1999年に初来日。サリフ・ケイタとの活動を通じ、坂本龍一のオペラ「Life」の制作にも参加。ポートレートフォトグラファーとして、ブルーノートやヴァーヴといったレーベルのレコードジャケットを多数手がける。多作な写真家としての活動と並行し、世界各地で展覧会を開催。主な個展「Batammaba Bâtisseurs D’Univers」(Visapour l’image、2001年)、「Source」(Phillips de Pury、ニューヨーク、2007年)、「Belles de Bamako」(シャネル・ネクサス・ホール、東京、2011年)などがある。著書には、これらのシリーズを書籍化した『Batammaba Bâtisseurs D’Univers』(Gallimard、2004年)、『Source』(2007年)、『Belles de Bamako』(2011年)、平野啓一郎との共著『Impressions du Japon』(以上Editions de la Martinière、2013年)などがある。現在は京都を拠点に活動。
2013 年に仲西祐介とKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭を、2023年にはKYOTOPHONIE Borderless Music Festivalを共同で設立。

仲西祐介

照明家。KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭、KYOTOPHONIE Borderless Music Festival 共同設立者・共同ディレクター。1968年生まれ。世界各地を旅しながら、記憶に残された光と影のイメージを表現する。映画、舞台、コンサート、ファッションショー、インテリアデザインなど、幅広い分野で照明演出を手がける。オ
ブジェシリーズ「Eatable Lights」を制作し、原美術館、School Gallery Paris、ニュイ・ブランシュKYOTO などでインスタレーション作品を発表。現在は京都を拠点に活動。2013年にルシール・レイボーズKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭を、2023年にはKYOTOPHONIE Borderless Music Festival を共同で設立。

© Isabel Munoz, 2018

© Isabel Munoz, 2018

Vision ビジョン

KYOTOGRAPHIEは、ひとつの表現媒体であり、芸術的手法である「写真」への理解を深め、その可能性を伝えることを目的としています。
国内外の気鋭の写真家による作品の展示を中心として、多くの写真関係者と観客が集い、様々な交流によって、そこから新たな創造性が生まれるような、国際的なプラットフォームの構築を目指しています。
会期中は数々の教育プログラムを実施し、子供から大人、アマチュアからプロ写真家まで、写真を通して、芸術や建築、歴史文化などの関連分野にも造詣を深めていただけるよう取り組みます。
「観客・アーティスト参加型」「歴史的建造物を活用した斬新な展示デザイン」「国際色豊かな事務局チームによる運営」といった独自性において、京都発信の日本国内における国際的な現代アートイベントとしてのモデルとなることを目指します。
KYOTOGRAPHIEを通して生まれた交流から、新たなクリエイションやビジネスが生まれること、京都での芸術分野の雇用促進へつながることを希求します。
開催地・京都への世界的な注目度を高め、国内外から京都に足を運ぶ理由となる重要な年間行事として定着することを目指します。

The Story So Far これまでのストーリー

2011年の東日本大震災を受け、日本と海外の情報交換の稀薄さを目の当たりにしました。それはおのずと双方の情報を対等に受信発信する、文化的プラットフォームの必要性への確信となりました。

日本はカメラやプリントの技術は世界を先導しているにもかかわらず、表現媒体としての評価が日本ではまだまだ低いと感じられる「写真」。私たちはここに着目し、その表現手段としての「写真」の可能性を見据えるべく国際的フェスティバルをたちあげ、この世界が注目する伝統と革新の街「京都」で実現することを誓いました。

これまで多くの企業や団体、個人の皆様のみならず、市、府、国のご協力もいただきました。このフェスティバルの発展は皆様のご支援なくしてはありえません。国際的とはまだまだ言い難い日本と海外を対等に繋げるべく私たちは日々試行錯誤を重ねておりますが、同時に様々な出会いも生み出されています。

私たちはそこから新しい価値が生まれてくることを信じ、このフェスティバルをさらに発展させるべく邁進します。